ソフトバンク、南極で水中ロボットを日本からリアルタイム制御 〜世界初の成功〜

ソフトバンクは、トラッキング技術を活用した水中光無線通信と衛星通信を組み合わせ、日本(東京都港区の本社)から南極・昭和基地近郊で海氷下を移動する水中ロボットをリアルタイムで遠隔制御する実証実験に世界で初めて成功しました。この実験は、情報・システム研究機構 国立極地研究所の協力の下、第65次南極地域観測隊による研究プロジェクトの一環として行われました。

背景と目的

従来、南極での海中調査では技術者や研究者が現地に赴き、水中航走体(ROV)を操作する必要がありました。しかし、過酷な環境での長期滞在や高コストが課題となっていました。

今回の実験では、日本にいながら遠隔で海中調査を行うシステムの可能性を検証。ソフトバンクが開発した光信号変換技術「OCC(Optical Camera Communication)」と「NTN(非地上系ネットワーク)」を組み合わせ、南極での実証実験を実施しました。

技術の詳細

  • 水中ロボット間通信
    • OCCを活用し、LEDの光の明滅をカメラで検出。トラッキング技術で光を追尾し、デジタル信号に変換。
    • NTNを通じて、リアルタイムでデータを送受信。
  • 遠隔制御システム
    • 親機となる水中ロボットがNTNで遠隔地と接続。
    • 約14,000km離れた日本から指示を出し、ロボットの動作や観測データをモニタリング。
  • 観測環境
    • 水温が約-2℃、音響通信が困難な環境下でも安定した制御とデータ収集を実現。

実験成果と将来の可能性

この成功により、南極や北極の極域で資源や生態系の調査を遠隔で行う可能性が示されました。将来実用化されれば、以下のような分野への貢献が期待されます:

  • 極域における学術調査の効率化。
  • 資源調査の進展。

また、ソフトバンクは今後、自律型水面航行ロボット(ASV)との連携により活動範囲を拡大し、より実用的な遠隔制御システムを開発予定です。

応用展開と商用化

この技術を応用し、日本近海での水中測位、水中無線通信を可能にする水中ロボットや産業ダイバー向けのソリューションの開発を進めています。2026年度の商用化を目指し、さらなる研究を続けていくとしています。

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