AD/HDは使わないものを積み上げる「買いだめ障害」を発症しやすいことが判明!

突然ですが、AD/HDと溜め込み癖は関連していることをご存じでしょうか?

イギリスのアングリア・ラスキン大学で2022年に行われた研究によれば、AD/HD(注意欠陥・多動性障害)の人は、普通の人と比べて所有物を溜め込む傾向が大幅に高いことが判明したとのことです。

どうやら物を溜め込む背景にはAD/HDなどの脳機能障害が潜んでいるようです。

参考文献

https://www.sciencealert.com/adhd-is-linked-to-significantly-higher-risk-of-hoarding-new-study-finds

元論文
https://doi.org/10.1016/j.jpsychires.2021.12.024

「買いだめ障害」とは使わないものを積み上げてしまうものである

物がなかなか捨てられず片付けが進まないという経験は、誰しもが一度は持っているものです。

遊園地の半券や苦労して手に入れた商品の箱など、他人にとっては価値のない物でも、思い出や当時の記憶を懐かしんで「大切なもの」としてついつい取っておいてしまいますよね。

また、人によってはお気に入りの本や漫画、写真集などを2冊以上買って1冊は「保管用」として読まずに保管する人もいるでしょう。

あるいはプレイする予定もないゲームでもとりあえず持っておきたいという思いから、何作品も積みゲーにしている人もいるかもしれません。

しかし、一部の人々はそれらの保管や所有の自らの限界を超え続けてしまうことが知られており、医学的に「買いだめ障害」として認識されることがあります。

買いだめ障害が深刻化すると、多くの場合は家がゴミ屋敷のように物で溢れてしまいます。

また、買いだめ障害の対象が本やゲームではなく犬や猫などの生き物になってしまうと「多頭飼育崩壊」を引き起こし、最終的に殺処分などの悲劇を招いたケースも報告されています。

そこで、アングリア・ラスキン大学の研究者たちは「買いだめ障害」の背後に潜む、精神病理を解明することにしました。

買いだめ障害とAD/HDの関連性とは?

特に研究者たちが注目したのは、AD/HDとの関係です。

買いだめ障害は以前、強迫観念が原因で発生すると考えられていましたが、研究者たちが患者たちのデータを分析すると、不思議なほどAD/HDを併発しているケースが多く見られました。

そのため、研究者たちは新たに買いだめ障害とAD/HDの関係を調べるために調査を行うことにしました。

調査にあたってはAD/HD患者と一般の参加者を募り「買いだめ」の傾向がどれだけ強いかを測定しました。

結果、一般の人の中で「買いだめ障害」を発症している割合が2%に対して、AD/HD患者では発症率が20%に及ぶことが発見されました。

また、AD/HDの主な症状である不注意レベルが「買いだめ障害」の重症度と一致していることも明らかになりました。

この結果は、AD/HDの人は一般の人に比べて「買いだめ障害」を発生させやすいことを示しています。

研究者たちはAD/HD患者に見られる報酬系の異常が、物の異常な所有に連動している可能性があると推測しています。

AD/HDの世界的な有病率は3.4%と報告されており、決して珍しい症状ではありません。

もし本やゲームなどを使用する目的の目処が立たないほど大量に所有しているのならば、一度AD/HDの検査を受けてみても良いかもしれません。

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