Waymo、自動運転車の安全性を発表 – 日本展開を見据えた調査結果
Googleと同じAlphabet傘下の自動運転車開発企業Waymoが、「自動運転車は人間が運転する車よりも事故率が低く、安全性が高い」という調査結果を発表しました。この発表はスイスの大手保険会社スイス・リーと共同で行われた研究に基づいています。
参考文献
Do Autonomous Vehicles Outperform Latest-Generation Human-Driven Vehicles? A Comparison to Waymo’s Auto Liability Insurance Claims at 25 Million Miles
https://waymo.com/research/do-autonomous-vehicles-outperform-latest-generation-human-driven-vehicles-25-million-miles/New Swiss Re study: Waymo is safer than even the most advanced human-driven vehicles
https://waymo.com/blog/2024/12/new-swiss-re-study-waymo
数字で見るWaymoの安全性能は?
Waymoとスイス・リーの研究では、自動車保険の損害賠償請求データを使用して、自動運転車と人間が運転する車両の事故率を比較しました。このデータには、50万件以上の人間のドライバーによる請求データと、Waymoの自動運転車がこれまでに走行した2530万マイル(約4070万km)のデータが含まれています。
分析の結果、Waymoの自動運転車は以下の点で人間のドライバーを大幅に上回る安全性を示しました:
- 物的損害請求:人間の運転と比較して88%少ない。
- 人身傷害請求:人間の運転と比較して92%少ない。
これらのデータは、自動運転車が人間のドライバーよりも事故を起こしにくいことを示しています。
ADAS搭載車両との比較
さらにWaymoの調査では、人間が最先端の先進運転支援システム(ADAS)を搭載した車両を運転する場合との比較も行われました。このグループと比較しても、Waymoの自動運転車は次の結果を示しました:
- 物的損害請求:86%少ない。
- 人身傷害請求:90%少ない。
ADASは衝突前の警告、死角の警告、車線維持支援などの機能を備えているものの、Waymoの自動運転技術の方がより高い安全性を持つことが明らかになりました。
Waymoの安全性能を示すデータ
以下のグラフは、100万マイル(約160万km)あたりの物的損害請求数(左)と人身傷害請求数(右)を比較したものです。
- 青線:人間が運転する全車両。
- 黄線:ADAS搭載車両を人間が運転する場合。
- 緑線:Waymoの自動運転車。
いずれのケースでも、Waymoの自動運転車が大幅に安全性を上回っていることが分かります。
専門家が語る自動運転の可能性と課題
Waymoの最高安全責任者マウリシオ・ペーニャ氏は次のように述べています:
“これまで自動車保険の請求データは、人間のドライバーの責任とリスクを評価するために使用されてきました。しかし、これは自動運転車の安全性能を評価するための強力なツールでもあります。この研究は、自動運転技術が交通安全に及ぼす影響を継続的に評価するためのスケーラブルなフレームワークを提供する画期的なものです。”
また、スイス・リーのP&Cソリューション国際ヘッドであるアリ・シャカラミ氏は以下のように述べました:
“私たちの研究は、自動運転車の安全性を評価し、その広範な採用を支持するために必要なフレームワークを提供しています。このテクノロジーが実際の状況でどのように機能するかを理解することで、より安全な未来を創造する可能性が示されています。”
東京で始まるWaymoの自動運転テスト
Waymoは2025年初頭から、東京で自動運転車のテストを開始する予定です。この計画は、日本交通やGOとの提携を通じて実現され、今後の展開が注目されています。
Waymoはすでにアメリカ国内で大規模な展開を行っており、フェニックスやサンフランシスコなどの都市で完全自動運転車の商業運行を開始しています。この経験を活かし、日本市場にも安全性の高い自動運転技術を導入する意向です。
自動運転車の普及で変わる社会
自動運転車の普及が進むことで、交通事故の減少や交通渋滞の緩和が期待されています。また、高齢者や障害を持つ人々にとって、自動運転車は移動の選択肢を広げる手段としても注目されています。Waymoの調査結果は、自動運転車が社会に与えるポジティブな影響を裏付ける重要な証拠となっています。
しかし、自動運転技術のさらなる進化には、法規制やインフラ整備、社会的受容などの課題が残されています。日本での展開が成功すれば、他国での普及にも弾みがつく可能性があります。
Waymoとスイス・リーの研究は、自動運転車が私たちの生活をどのように変える可能性があるかを示す一歩にすぎません。今後の技術革新がどのように進むのか、引き続き注目が集まります。