東京都庁が、2025年4月から「週休3日制」を導入すると発表し、大きな注目を集めています。小池百合子知事は、この新たな働き方改革を「男女問わず活躍できる社会を広げるための一歩」とし、「ライフイベントに左右されずキャリアを継続できる柔軟な仕組みを作りたい」と語りました。この取り組みは単なる働き方の見直しにとどまらず、私たちの生活スタイルにも大きな影響を与えそうです。
参考文献
・イギリスでの週休3日制試験
・週休3日制と気候変動
東京都の「週休3日制」の仕組み
東京都では、3つの導入方法が考えられますが、今回は「週の総勤務時間を変えずに、4日間で業務を終える」という方法を採用する予定です。具体的には、1日8時間勤務を10時間勤務に拡大し、週4日の労働に集約する形です。この方式なら、給料は従来通り維持され、経済的な影響を最小限に抑えられます。
一方で、「勤務時間を減らしつつ給料も減額する」パターンや、「勤務時間と給料を維持しつつ、1日分の仕事を他の日に詰め込む」方式も検討されましたが、今回の方針では選ばれませんでした。
週休3日制がもたらす可能性
「週休3日制」には、職場環境や私生活の充実といったメリットが期待されています。休暇が増えることで従業員の心身の健康が改善され、リフレッシュした状態で業務に臨めるため、生産性の向上も見込まれます。また、仕事と育児を両立したい人や、柔軟な働き方を求める人々にとっても、選択肢が広がるでしょう。
一方で課題もあります。1日の勤務時間が増加することで、肉体的・精神的な負担が大きくなり、かえって疲労感が高まる可能性があります。また、従業員が「週休2日」と「週休3日」を選択できる場合、チーム内のスケジュール調整が難しくなり、生産性が下がる懸念も指摘されています。
世界の成功例から学ぶ
イギリスでは2022年、3300人以上の従業員を対象にした大規模な週休3日制の試験が行われました。この試験では「100:80:100モデル」が採用され、従業員は従来の生産性を維持することを条件に、勤務時間を80%に短縮し、給料は100%支給されました。その結果、多くの従業員が生産性を維持しつつ、幸福度の向上や病欠率の大幅な減少が報告されました。
特筆すべきは、試験に参加した企業の90%以上がこの制度を継続し、うち18社は恒久的な導入を決定した点です。特に燃え尽き症候群の軽減やストレス緩和が顕著であり、従業員のモチベーションアップにもつながったとされています。
環境への影響と未来の展望
さらに興味深いのは、週休3日制が地球環境にも寄与する可能性です。通勤日数の減少により、二酸化炭素の排出量が削減され、オフィスの電力消費も抑制できます。イギリスの試算によると、週休3日制を導入することで、二酸化炭素の排出量が20%以上減少するとされています。
東京都がこの制度を先行導入することで、他の自治体や企業に広がるきっかけになるかもしれません。かつては土曜日も仕事が当たり前だった時代が変わったように、将来的には週休3日制が一般化する可能性も十分に考えられます。
この制度が、私たちの生活と仕事にどのような変化をもたらすのか、期待とともに注目したいところです。