改めてメントスコーラ現象について説明できる?化学反応ではなく物理現象で知ってた?

コーラにメントスを投入すると、噴火のようにコーラが勢いよく吹き出す「メントスコーラ」。この現象は、動画サイトなどで目にしたことがある方も多いはずです。しかし、その理由を正しく理解している人は少なく、しばしば「化学反応が原因」と誤解されがちです。

実はこの現象、化学反応ではなく物理現象として説明されます。今回は、メントスコーラの仕組みと、その背後にある科学を詳しく解説します。

参考文献

Coke® & Mentos® – Exploring Explosive Chemistry!

Coffey, T. S., “Explosive Mentos-Soda Geysers”, American Journal of Physics (2008)


メントスコーラの起源

https://dailyportalz.jp/kiji/15287

この現象を広めたのは、アメリカの教育者スティーブ・スパングラー氏。彼は「科学を楽しく学ぶ」ことをテーマに、さまざまな実験を子どもたちに紹介してきました。スパングラー氏がメントスを選んだ理由は、その成分ではなく「物理的な構造」にありました。

メントスの表面は非常に細かい凸凹に覆われ、多孔質構造を持っています。この表面構造が、コーラに溶けた炭酸ガスを大量に放出させる鍵なのです。


化学反応ではなく物理現象

https://itatigokko.blog/physical-highschool-interesting/

化学反応は物質同士が結びつき、分子構造が変化する現象ですが、メントスコーラではそうした変化は起きていません。コーラにメントスを入れても、メントス自体が溶けるわけではなく、成分同士が反応することもありません。

重要なのはメントスの表面。顕微鏡で観察すると、メントスには非常に微細な凸凹があり、これが炭酸ガスの気泡発生を助ける「核」として機能します。

炭酸飲料の液体は、圧力と表面張力によって二酸化炭素を溶け込ませています。しかし、この表面張力は揺れや凸凹に弱く、乱されると溶けていた炭酸ガスが急激に液体から離脱します。メントスの表面構造は、このプロセスを大幅に加速させる働きを持っているのです。


なぜメントスが最適なのか

https://www.shin-shouhin.com/2018/11/08/mentos_whitechoco/

さまざまなお菓子や飲料でこの現象が試されていますが、最も強力なのはダイエットコーラとメントスの組み合わせ。その理由は化学的な要因が絡んでいます。

メントスに含まれるアラビアガムやゼラチンは界面活性効果を持ち、液体の表面張力をさらに弱めます。一方、ダイエットコーラの人工甘味料(アスパルテームなど)も同様の効果を持つため、この組み合わせが最強の噴射を引き起こすのです。

さらに、コーラのボトル形状も重要です。ボトルの口が狭いほど、気泡が一気に押し出され、噴射が強力になります。逆に口が広いと、噴射の勢いは弱まります。


化学反応で再現できる?

https://honcierge.jp/articles/shelf_story/10078

物理現象としてのメントスコーラとは異なり、化学反応を利用して似たような噴射を再現する実験もあります。例えば、コーラに重曹を加えると、コーラの酸性成分と重曹が反応して二酸化炭素を発生させます。

ただし、これらは溶けていた炭酸ガスを放出する物理現象とは異なり、化学反応で新たに二酸化炭素を生成している点が異なります。見た目は似ていますが、原理がまったく違うのです。


メントスコーラは科学の入口

スティーブ・スパングラー氏が目指したのは、身近な材料で科学の楽しさを伝えることでした。この実験を通じて、子どもから大人まで科学への関心を深められるでしょう。

メントスコーラを試す際は、周囲に注意を払い、後片付けも忘れずに。科学を楽しみながら、身近な現象の仕組みに目を向ける良い機会となるはずです。

  • URLをコピーしました!