ネスレ元社長 「テレビCMに何十億円出しても無意味」「『広告しないと商品が売れない』は時代遅れ」
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「企業のテレビCM離れ」を20年以上前に実現していたのが、元ネスレ日本社長の高岡浩三氏だ。
世界最大の食品・飲料メーカーであるネスレの100%子会社であるネスレ日本のトップを2010年から
10年間務めた高岡氏だが、社長就任前の2002年頃、人気商品「キットカット」のCM中止をマーケティング
担当者として決断、後述するように新たなプロモーション戦略を打ち立てて大成功を収めた。
なぜ、キットカットのCMをやめようと思ったのか。高岡氏は「まず前提として、外資系企業の“利益に対する
執着”を理解する必要があります」と語る。「日本の会社は今でこそ、投じた資金がどれだけ利益を生み
出したかを示すROIC(投下資本利益率)を重視するようになりましたが、外資系では僕がネスレ日本に
入社した40年前から当たり前のように、投資に対するリターンを強く求められました。売上ではなく利益です。
僕はそうした厳しい環境で鍛えられました」(高岡氏・以下同)
投じたお金がどれだけの利益を生み出すかをシビアに問われる環境で、悩みの種となったのがテレビCMだった。
1980年代当時のネスレ日本は「ネスカフェゴールドブレンド」の“違いがわかる男”などのCMに年間400億円ほど
使っていたが、それは大きな工場を丸ごと一つ作れる金額だったという。高岡氏がマーケティングを担当することに
なったキットカットも宮沢りえや一色紗英ら華やかな女性タレントをCMに起用し、毎年20億円以上の広告費を
使っていた。「それだけの巨額をつぎ込みながら、キットカットの利益率はわずか2~3%ほどでした。これでは
どうしようもない。利益を重んじる本社から『何とかしろ』との指令があり、“20億円の広告費を一気にゼロにしたら
利益が上がるだろうか…”と漠然と考えていました」
そんなある日、故・みのもんたさんが司会を務める番組がふと目に入った。そこで、白衣を身にまとった医師が、
赤ワインに含まれるポリフェノールには血液をサラサラにする効果があると解説すると、赤ワインが飛ぶように売れた。
「“あっ、これだ!”と思いました」と高岡氏は振り返る。
引用元: ・ネスレ元社長 「テレビCMに何十億円出しても無意味」「『広告しないと商品が売れない』は時代遅れ」 [675960865]
【2/2】
「CMに何十億円投資しても売上も利益も変わらないのに、利害関係がない人が番組で商品を紹介したら
バカ売れする。もう視聴者は、クライアントにとって良いことしか言わない広告なんて信じていないのだと思いました。
ちょうどその頃、原書で読んだ『ブランドは広告で作れない』(アル・ライズ、ローラ・ライズ著)というマーケティングの
本にも、“これからの時代はムダな広告費を使うよりPRを活用せよ”と書いてありました」
2000年代初頭とは比べ物にならないほどネットが普及した現在、マーケティングにとってニュース性はますます
重要になっていると高岡氏は言う。「今の消費者は広告ではなくSNSの口コミを見て商品を選びます。だからこそ、
人が人に伝えたいようなニュース性のある商品をクリエイティビティで作る必要があり、同時にネットの声をいかに
拾うかが問われます。逆に言えば、本当にみんなが欲しいと思う商品やサービスであれば、あえて広告はしなくていい。
それがインターネットの時代だと思います」
そんな時代だからこそ、「テレビCMをやめる」が企業にとっての選択肢となり得る。「テレビCMはこれから世に出す
新ブランドや新商品の認知度を高める効果はありますが、そのブランドや商品が定着して利益を生み出す
ヒット商品になるかはわかりません。しかも、例えばネスカフェやキットカットのような誰もが知っているブランドは
CMの効果が少なく、コストパフォーマンスが非常に悪い。単なるイメージ広告だけ一生懸命やっていても、
売上も利益も上がらないんです。テレビCMは広告メディアのひとつとしてこれからも絶対に生き残ります。ただし、
広告をやらないと商品が売れないという考え方は、時代遅れだと思います」
この先は、企業のテレビ広告離れが加速するかもしれない。今回のフジの問題は「テレビの終わりの始まり」ではなく、
「テレビCMの終わりの始まり」であるかもしれないのだ。
美味しい^^
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