TOPPAN、ネット画像の真正性を証明する技術で実証実験 SNS特有の課題も浮き彫りに

TOPPANデジタルは、画像データに出所や編集履歴を記録した来歴情報と電子透かしを埋め込み、その真正性を検証する実証実験を開始しました。この実験は、平将明衆議院議員(デジタル大臣)の公式サイトに公開される活動実績画像を対象に行われ、インターネット上で拡散された画像の信ぴょう性を証明することを目指しています。

実証実験の内容と電子透かし技術の役割

この実証では、TOPPANデジタルが2022年に開発したメタバース用基盤「AVATECT(アバテクト)」の電子透かし付与機能を活用しています。画像に埋め込まれる電子透かしは、C2PA(Content Authenticity Initiative)規格に準拠した来歴情報と連携し、画像の出所や改ざんの有無を検証する基盤を提供します。

平将明衆議院議員の公式サイトに掲載される画像には、出所情報や信ぴょう性を証明するデータが埋め込まれています。この技術は、画像がインターネット上で拡散された後でも、オリジナル情報を保持し、改ざんの有無を検証できることを目指したものです。

実証の結果と浮き彫りになった課題

今回の実証では、電子透かしと来歴情報がインターネットで拡散された画像でも保持されることが確認されました。これにより、偽情報との判別が可能であることが証明されました。ただし、特定の画像加工方法により、電子透かしの検出精度が低下するという課題が明らかになりました。

また、多くのSNSでは画像圧縮が行われるため、電子透かしが劣化し、C2PA準拠の来歴情報が欠落することが問題として浮上。SNSごとに異なる画像処理方式への対応が必要であることが判明しました。

SNS特有の課題と改善への取り組み

SNS上で画像が広く共有される現代において、電子透かしや来歴情報の保持は技術的な課題に直面しています。特に、画像圧縮や形式変換が透かしの劣化を引き起こし、信ぴょう性確認に影響を与えています。

実証期間中は、二次利用された画像を収集し、SNSごとの画像処理特性に基づく検出精度の改善を進めます。また、TOPPANデジタルは、SNSプラットフォームや技術開発企業と連携し、圧縮に強い透かし技術の開発やC2PA規格の適用拡大を目指します。

今後の取り組みと計画

TOPPANデジタルは、2025年度内に「AVATECT」をコンテンツ全般に対応する技術基盤として提供することを目指しています。この技術を実用化することで、SNSやオンラインプラットフォームでの偽情報拡散防止に寄与し、デジタルコンテンツの信頼性を大幅に向上させることを目指しています。

さらに、関連団体と協力し、来歴情報の透明性向上や電子透かし技術の精度向上を進めます。この取り組みは、インターネット上でのコンテンツ利用が急速に拡大する中で、安全で信頼性の高い情報環境を実現する重要な基盤となるでしょう。

今回の実証実験は、偽情報の流布を防ぎ、信ぴょう性を持った情報の拡散を可能にする技術基盤の構築を目指したもので、今後のデジタルコンテンツ利用に大きな影響を与えると期待されています。

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