日本郵便、ヤマト運輸を提訴—協業中断を巡り120億円の損害賠償請求

2024年12月23日、日本郵便はヤマト運輸を相手取り、東京地方裁判所に損害賠償等請求訴訟を提起したと発表しました。これは、両社が締結した「持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意」に基づく協業が、ヤマト運輸側の対応によって中断され、予定されていた物流サービスの全国展開が困難となったためです。日本郵便は損害賠償額として120億円を請求しています。

背景と経緯

  • 協業の目的: 両社は2023年6月、物流における社会課題の解決を目指し、メール便領域(クロネコDM便)および小型薄物荷物領域(ネコポス)の協業を決定。2025年2月までにこれらを日本郵便の配送網へ完全移管する予定でした。
  • 現状の問題:
    • ヤマト運輸は2024年12月、「配達日数の遅延」を理由に、「ネコポス」から「クロネコゆうパケット」への移行計画の見直しを申し入れ。
    • 日本郵便はこれを「ヤマト運輸側の一方的な事情」と主張し、申し入れを承諾していません。
    • ヤマト運輸は合意内容の履行義務の存在を否定し、運送委託の停止を進めていると日本郵便は非難しています。

争点と訴訟内容

日本郵便は以下の内容を訴訟で争います:

  1. 合意内容の確認: ヤマト運輸が小型薄物荷物の運送委託を履行する義務があることの確認。
  2. 損害賠償: 義務不履行による損害額120億円の賠償請求。

両社のコメントと影響

  • ヤマト運輸: 配達日数の遅延などの運営上の課題を理由に計画変更を申し入れましたが、日本郵便はこれを「一方的な変更」としています。
  • 日本郵便: 合意内容の履行を求めつつ、履行されない場合の損害賠償を訴えています。

今後の展開

本訴訟は、物流業界全体に影響を与える可能性があります。日本郵便とヤマト運輸の協業が中断されることで、消費者や企業にとって利便性が低下し、サービス改善の遅れにつながる懸念が指摘されています。

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