異性が本当に求めているものとは?容姿の理想に潜む誤解を解明

「男性は男らしい方がモテる」「女性は女性らしい方が魅力的」――多くの人が抱くこの固定観念。しかし、実際には男女が異性に求める理想と大きなズレがあることが、セント・アンドリュース大学の研究で明らかになりました。この誤解が、過剰な容姿へのこだわりや健康リスクを引き起こす可能性があると指摘されています。

参考文献

Misperception of the facial appearance that the opposite-sex desires

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0310835

Men and women ‘don’t understand’ what the opposite sex finds attractive

https://www.dazeddigital.com/life-culture/article/65666/1/men-and-women-dont-understand-what-the-opposite-sex-finds-attractive

異性が求める「理想の容姿」のズレ

https://myhome.nifty.com/column/rent/231029371409/

これまでの研究では、男女が考える「異性が求める理想の体型」に大きな誤解があることが報告されてきました。例えば、男性は「女性は筋肉質な男性を好む」と信じがちであり、女性は「男性はスリムで少女のような体型を好む」と思い込んでいます。しかし実際には、異性が好む体型はこれらのイメージほど極端ではなく、過剰な筋肉増強や過度な減量は必ずしも魅力を高めるものではないことが示されています。

この固定観念は顔の魅力についても同様であるという仮説のもと、今回の研究が行われました。研究チームは、被験者が持つ「理想の顔の男らしさ・女性らしさ」と「実際の異性の好み」の間にどれほどのギャップがあるのかを調査しました。

研究の方法と設計

https://www.fusion.co.jp/column/2022/11/effectiveness-verification

セント・アンドリュース大学の心理学教授デイビッド・ペレット氏を中心とする研究チームは、50人の男性と68人の女性から顔写真を収集。それらを基に、被験者の顔の平均的な3Dモデルを作成しました。この3Dモデルは、以下のように顔の「男らしさ」や「女性らしさ」を調整可能です:

  • 男性の顔:-100%(女性化)から+200%(男性化)まで10%刻みで調整。
  • 女性の顔:-100%(男性化)から+200%(女性化)まで10%刻みで調整。

被験者はこれらの調整可能な顔を見ながら、「異性との短期的または長期的な関係において、最も魅力的だと感じる顔」を選ぶよう指示されました。

結果:男らしさ・女性らしさの過大評価

https://www.istockphoto.com/jp/search/2/image?mediatype=illustration&phrase=%E6%81%8B%E6%84%9B

調査の結果、男女間で理想の顔に対する認識に大きなズレがあることが判明しました。

  • 男性の顔に対する評価
    • 男性自身は、短期的な関係では91%(男性化された顔)を魅力的と感じると予測。
    • しかし、女性は男性化された顔の魅力度を33%と評価。
  • 女性の顔に対する評価
    • 女性自身は、短期的な関係では184%(女性化された顔)を魅力的と感じると予測。
    • しかし、男性は女性化された顔を127%と評価。

この結果から、男性は「女性はより男らしい顔を好む」と考えすぎており、女性は「男性はより女性らしい顔を好む」と信じすぎていることがわかりました。

自己評価と理想像のギャップ

https://www.pexels.com/ja-jp/search/%E6%81%8B%E6%84%9B/

さらに研究では、被験者に自身の顔の男らしさ・女性らしさのレベルを評価してもらいました。その結果、以下の傾向が見られました:

  • 男性は、自分の顔の男らしさを37.2%と評価する一方で、理想の男らしさを65.3%と判断。
  • 女性は、自分の顔の女性らしさを124.0%と評価する一方で、理想の女性らしさを161.5%と判断。

この自己評価と理想のギャップが、容姿への不満を生む一因となっていることが示唆されています。

健康への影響と誤解のリスク

この誤解が容姿への過度なこだわりを引き起こし、健康を害するリスクがあることも懸念されています。男性が無理な筋肉増強を目指したり、女性が極端なダイエットに走ることで、身体的にも精神的にも負担が増える可能性があります。

研究チームは「男女が互いに求める理想の容姿を誤解している場合、自分の容姿に対する不満が高まり、自己イメージが低下する可能性がある」と指摘しています。

研究の限界と今後の課題

今回の研究は、白人の被験者のみを対象に行われたため、結果を他の人種や文化に当てはめることはできません。研究チームも「より多様な被験者を含めた調査が必要である」としています。

また、今回の調査では短期的な関係と長期的な関係で理想とする容姿に違いがあることも確認されています。今後は、異なる文化圏や社会背景における容姿の理想について、さらなる研究が期待されます。

まとめ:ありのままの自分を受け入れる重要性

今回の研究は、「異性が好む容姿」に対する思い込みが、男女ともに現実と大きくズレていることを明らかにしました。この誤解を解消し、自分自身を過剰に変えようとするプレッシャーから解放されることが、心身の健康にとって重要です。ありのままの自分を受け入れることが、最終的には真の魅力を引き出す鍵になるのかもしれません。

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