「女性の高い声」を聞くと男性はリスク行動を取りやすくなることが判明!

突然ですが、好きな男性と話をしている時の女性の声って普段より高く聞こえたりしませんか?

中国・複旦大学の最新研究では、男性は女性のハイトーンな声を聞くとリスク行動を取りやすくなることが判明しました。
これは進化生物学的に、男性には女性の高い声を聞くことで自己アピールを促される性質が備わっていることを示す結果と言えます。

しかし一方で、“ある条件”がつくと女性の高い声を聞いても男性がリスク行動を取らなくなることも明らかになったのです。

何故、男性はリスク行動を取ろうとするのか?

スピード出しすぎの運転や大けがに繋がるような遊び、全財産を擦ってしまうようなギャンブルなど、人は生活の中でしばしばリスクの高い行動を取ることがあります。

特に男性はリスク行動を取りやすい傾向があります。
危険だと分かっていても利益のある結果を求めて勝負に出るのです。

男性はリスク行動を取るか取らないか、その判断として“リスクの大きさ”と“期待できる利益”を天秤にかけます。

ただしこれはあくまでも主観的な判断であり、実際の決断には様々な要因が絡んできます。

なかでも進化生物学的な面から見ると、男性がリスク行動を取る大きな要因は「意中の女性を勝ち取ること」とされています。
リスク行動が取れる=その男性が遺伝的に質が高いことを示し、潜在的な交尾相手(女性)に対する魅力を高めるということで進化論的には説明されています。

分かりやすく言えば男性が「どうだ、俺はこんなに危ないことができるほど勇気があるんだぞ」とアピールすることで、女性の方も「この相手なら頼りがいがあって、家庭を守ってくれるかもしれない」と感じるようになるのです。

男性がリスク行動を取る「決め手」とは?

男性は女性のハートをゲットするためにリスク行動を取るわけですが、だからといって女性の前でならいつでもリスクを冒すという訳ではありません。
異性として興味のない女性の前でずっとリスク行動を取っていては、命がいくつあっても足りないからです。

これまで、男性がリスクを冒す決め手として注目されてきたのは、主に“顔やスタイルの美しさ”といった視覚的な女性の魅力でした。
見た目の魅力は男性が「この女性を手に入れたい!」と思う第一の指標として考えられます。

しかしその一方で、研究チームは「女性の声の高さ」という聴覚的な手掛かりに注目がないことに気づきました。
声の高さは男性が潜在的なパートナーを見つける上で非常に重要な要因となってきます。

子供のうちは男女の間に声の高さがあまりありません。
ところが、繁殖が可能になる思春期の頃から徐々に声変わりが起こり、男性は低く、女性は高いままを維持するようになります。

この声の高さの違いもまた、男女がお互いを潜在的なパートナーとして識別する一つの指標となります。
過去の研究でも、女性は男性のロートーンなイケメンボイスに惹かれやすく、男性は女性のハイトーンな美声に惹かれやすいことが十分に示されてきました。

そして年齢を重ねていくと、今度は女性の方も声が徐々に低くなっていきます。
これは年齢によって繁殖能力が落ち、もはや異性にアピールする必要性が生物学的にはなくなるのが一因と考えられるでしょう。

こうした背景を踏まえてチームは今回「女性の声の高さが本当に男性のリスク行動を誘うのか」を実験で検証することにしました。

この実験の目的は二つあります。
一つ目は、進化生物学的に男性は女性の声の高さによってリスク行動をしやすい性質が備わっているのかを調べます。
もう一つは、社会文化的な要因の影響を調べることにしました。

人間は社会文化の中にある道徳や習慣によって自分の選択を柔軟に変えています。
女性が男性のリスク行動を嫌う背景があるとすれば、男性は女性の高い声を聞いてもリスク行動を取らない可能性が考えられます。

研究チームは進化生物的な要因と、社会文化的な要因の二つを検証しました。

「女性の声の高さが男性のリスク行動を促すのか」を実験

まず最初の実験は平均年齢22歳の健康な男性66名を対象に、VRを使って運転シミュレーションに取り組んでもらう内容になります。
男性は2つのグループに分けられ、一方は女性ナビゲーターの声を低い声に、もう一方は高い声に設定しました。

この条件で「ストップライト課題」というタスクを行います。
このタスクは運転する車が交差点に近づくと信号が黄色に変わるようデザインされており、男性は黄色信号をそのまま直進するか止まるかの選択を迫られます。

ここでは男性が黄色信号を直進した回数=リスク行動の指標とします。

次の実験では平均年齢21歳の健康な男性120名を対象に、リスク行動における社会文化的な要因の影響を調べます。
最初の実験同様に2つのグループに分けられ、一方は声が高い女性のガイダンス音声を、もう一方は声が低い女性のガイダンス音声を聞かされます。

ここでは女性ガイダンスの声がスマートボイス製品を紹介し、参加者はその声の魅力を評価する流れになります。

これに続いて参加者に2種類のテキストのいずれかをランダムに振り分け、それを読んでもらいます。
一方は男性のリスク行動を誘発するような文章が、もう一方は男性のリスク行動を抑制するような文章が書かれています。
この状態で男性たちはVR上で高層ビルの屋上に移動し、空中に差し出された長さ3mの木の板の上を端まで歩くように女性の音声で指示されます。

この実験では男性たちが木の板の上を歩く速度=リスク行動の指標とされています。

1つ目の実験の結果は、女性の高い声を聞いた男性たちは低い声を聞いた男性たちに比べて、黄色信号を直進する回数が一貫して多くなっていることが判明しました。
これは男性が進化生物学的に、女性の高い声を聞くとリスク行動を取りやすくなる性質を持っていることを示します。

しかし2つ目の実験の結果は、男性がリスク行動を取るかどうかは社会文化的な要因によって左右されることが判明しました。
女性の高い声でリスク行動を誘発する文章を読んだグループは、1つ目の実験と同様にリスク行動を取る確率が高まったのです。
ですが、リスク行動を抑制する文章を読んだグループは女性の高い声を聞いてもリスク行動を取る傾向が大幅に低くなりました。

この2つの実験で分かったことは下記の通りとなります。

男性には女性の高い声を聞くと危険を冒したくなる性質が進化生物学的に備わっているものの、リスクを冒さない男性を好むという文化的な背景があることを知っていると、男性は女性の高い声を聞いてもリスク行動を取らなくなります。

つまり、男性がリスク行動を取るかどうかは進化上の要因に加えて、社会文化的な要因も大きく影響しているのです。

少し嫉妬心を煽りたい時は高い声でリスク行動を誘うようなことを言うのも良いですし、落ち着いた関係を築きたいのであれば思い切ってリスク行動を抑制するようなことを言ってみると、意外と恋愛が上手くいくのかもしれません。

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