「好きな食べ物は何?」→木村拓哉「お母さんがつくったおいなりさん」 萩本欽一が「この子は絶対スターになる!」と確信したワケ
小堺一機が萩本の物まねをするときの定番のセリフに、「聞いたらおしまい」というものがある。実際によく萩本が言うらしい。どういう意味か。
たとえば、オーディションの面接で萩本が「あなたのお母さんは?」と尋ねる。どのようにも取れそうだが、それもそのはず、あえて漠然とした質問をしているのである。するとたいていの人間は、「あの、母の何についてですか?」などと逆に質問を返してしまう(萩本欽一『「笑」ほど素敵な商売はない』福武書店、1993年、15頁)。
萩本に言わせると、逆に質問するのは補足の説明を求めているからだ。つまり、質問の意図をすべて明確にしてからでないと答えられないと考えるから質問を返す。
そういう人間はコメディアンに向かない、と萩本は言う。そうしてしまうと遊びの余地がなくなり、笑いは生まれないからである。曖昧な質問をそのまま受け止め、なんでもいいから「先走りした答え」を返す少しおっちょこちょいなくらいの人間こそが、コメディアン向きなのだ(同書、17頁)。その意味で、「聞いたらおしまい」なのである。
(略)
厳密には「欽ちゃんファミリー」かどうかはわからないが、この萩本流面接で“合格”したのが元SMAPの木村拓哉である。
SMAPとしてCDデビューする前、まだ十代だった木村が欽ちゃんの番組のオーディションを受けたことがあった。このとき萩本がした質問は、「好きな食べ物は何?」というもの。これもどのようにでも答えられそうな曖昧な質問である。すると木村は、「お母さんがつくったおいなりさん」と答えた(『Techinsight』2012年1月15日付記事)。
萩本は、この答えにいたく感心した。まだ若いのに格好をつけて「パスタ」などと言わず「おいなりさん」と答えたところ、さらに「お母さんがつくった」と付け加えたところがなんとも良い。確かに、この答えには「それはどんなおいなりさん?」とか「なんでお母さんがつくったのでないとダメなの?」とかすぐいろいろツッコミたくなる。
「この子は将来絶対スターになる」と、このとき萩本は確信したという。当然オーディションは合格した。しかしこれには後日談もあって、木村拓哉は「おいなりくん」と萩本に呼ばれる意味がわからずレッスンにいかなくなり、結局番組には出演しなかった(同記事)。
引用元: ・「好きな食べ物は何?」→木村拓哉「お母さんがつくったおいなりさん」 萩本欽一が「この子は絶対スターになる!」と確信したワケ [ネギうどん★]
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